ココロが軽くなるメンタルケア:遠方に住む病気の両親のことが気がかり

一般社団法人認知行動療法研修開発センター 理事長 大野 裕
55歳の会社員です。80歳になる父母は田舎に2人で暮らしています。去年のこと、父は何度も同じ質問をしてきたりと物忘れが目立つようになり、軽度認知障害と診断されました。進行を遅らせるには趣味を持ったり人との交流を持つとよいそうなのですが、無趣味で引っ込み思案な父はテレビの前で居眠りばかりしているようです。
父の面倒を1人で見ている母は、『父がデイケアに行ったときしか一息つけない』とこぼしながらも、仕方がないからと明るく振る舞ってはいますが、母の心身にも負担がかかっていることが心配です。私もできるかぎりサポートをしたいと思いますが、仕事もあり頻繁に帰省はできません。家族をどう支えていけばよいのでしょうか。

できるサポートには限りがある
遠くに住んでいるご両親のことが心配なお気持ちはよく理解できます。とくに、物忘れが目立つようになってこられたお父様と、お父様の世話と毎日の家事で心身に負担がかかっているお母様のことを考えると、できるだけ頻繁に帰ってサポートしたいという気持ちが強くなるのは自然なことです。
しかし、私たちは万能ではありません。できることには限りがあります。これは、遠くに住んでいる場合だけでなく、近くに住んでいても同じです。逆に、近くに住んでいると、ご両親の様子が気になりすぎる可能性があります。病院で軽度認知障害と診断され、趣味を持ったり人と交流をしたりする方がよいと言われても、ご本人がその気になられなければ変化は起きないでしょう。
無理のない範囲を見さだめよう
毎日テレビの前で居眠りばかりしている様子を見ると、腹が立ってくるかもしれません。そのように大変な状況のなかで、お母様が明るく振る舞われているのは救いだと思います。しかし、この状況が続けばお母様にも疲れがたまってくる可能性があります。そうしたことを避けるためには、あなたもお母様も、ご自分たちだけで頑張ろうとしないことが大事です。

ご家族がお父様のことを大切に思われていることはよくわかりますが、そうだとすれば、ご自分たちに何ができて何ができないのか、冷静に判断するようにしてください。そして、ご自分たちでできないことについては行政など、公的な機関に相談して手助けを受けるようにするのがよいでしょう。高齢化が進んできた現在、様々な公的な支援が提供されています。そうした支援を上手に使いながら、ご家族がご自分たちでできる範囲でお父様をサポートしていくことができれば、安心だと思います。
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