女性ホルモンがこころの健康に与える影響

うつの発症には、人間関係や仕事のストレス、個人の性格などが関係していますが、女性の場合はさらに女性ホルモンの変動が影響している場合があるため、実は女性の方がうつ病にかかりやすいことがわかっています。
女性にはうつになりやすい時期がある
女性ホルモンの変化に連動したものでは、「月経前症候群(PMS)の一症状としてのうつ」、「マタニティーブルー(産後うつ)」、「更年期障害に伴ううつ」などがみられます。
いずれも女性ホルモンの変動による、脳内のセロトニン(気分を安定させる神経伝達物質)不足が関係しています。女性のうつにはこのような原因もあることを知っておくとよいでしょう。
また、若い女性に多い甲状腺の病気でもうつ症状がおこることがあります。
※女性ホルモンの変動が原因と思われる場合は、婦人科で対応することも可能ですが、医師から心療内科や精神科への受診をすすめられたら指示に従いましょう。

主なうつ症状
うつの症状には精神的な症状と身体的な症状があります。
*うつ症状があるからといって必ずしも「うつ病」というわけではありません。診断基準にもとづいて医師が診断します。
精神神経症状
ゆううつ感、興味・関心の低下、意欲・集中力の低下、
自信低下、自分を責める、悲観的思考、睡眠障害、自殺を考える など
身体症状
疲れやすい、食欲低下、頭痛、肩こり、動悸、息切れ、
のどのつまり感、めまい感、便秘・下痢、性欲低下、不眠 など
*不眠ではなく過眠、食欲不振ではなく過食気味になることもあります。
自分でうつかも…と思ったら
仕事や家事はなるべく減らし、ゆっくり休養をとるようにしましょう。意識して生活のリズムを整えることも大切です。
うつ症状が続く場合は、専門家によるカウンセリングや、婦人科のかかりつけ医・心療内科などへの受診をおすすめします。
「うつ病」と診断されたら
脳内のセロトニンやアドレナリンの働きを促進する、抗うつ剤を使った治療が中心となります。
お薬で症状が落ち着いたら、回復に向けて「否定的になりがちな考え方」を見直す認知療法などを行います。
休職が必要になる場合もありますが、治療のためにはしっかり休むことが大切です。
彼女はうつかも…と思ったら
傍目には「やる気がない」「わがまま」なように見える場合もありますが、脳内のセロトニン不足による機能不全の状態なので、叱咤激励や原因探しは禁物です。
本人とよく話し合って仕事(家事)の負担を減らし、婦人科やかかりつけ医などへの受診をすすめてみましょう。
*いきなり精神科や心療内科への受診はハードルが高い場合があります。
周囲が気づくサイン
- 表情がかたい、口数が少ない、反応が遅い
- 遅刻、欠勤が増えた
- とくに朝や休日明けに調子が悪い
- 家事ができなくなった
- イライラしている、落ち着かない
- ちょっとしたことで傷ついて泣く
など
